アトリエ訪問 その2 2006.03.13

  工房世二を失礼して向ったのが、埼玉県志木市で木のおもちゃを制作しているアトリエ倭です。1時間半ほど車を走らせると到着しました。 こちらも若いご夫妻のアトリエです。
 お二人に出会ったのは、昨年の秋の展覧会でした。展示されていた木のおもちゃがとても素敵で仕事が丁寧だったのです。思わず手に取らせていただきました。 そこで初めて香田進・佳子夫妻にお目にかかりお話をさせていただきました。それからご縁があり、KUKUのホームページでもリンクさせて頂くことになりました。
 たくさんのパーツをひとつひとつとても丁寧に作っておられ、一度お訪ねしたいと思っていたのが、実現しました。

 
久しぶりにお目にかかったお二人でした。住宅地の中の普通の一軒家をお二人で工夫して、工房になさっていました。決して広いとはいえませんが、機械や作業台にキャスターをつけ、臨機応変に仕事に対応できるよようにしてあり、感心させられました。住宅街なので、機械を使うときは、早朝を避けたりと気を使っていらっしゃるようでした。

 倭さんのホームページをご覧頂くと、日本の伝統的な木組みをデザインした木のおもちゃが紹介されています。
香田ツマさんがデザイン担当、制作はお二人でなさいますが、機械の調整や専門的なところは香田オットさんが中心となって進め、とてもチームワークの素晴らしいお二人です。オットさんは、若いながらも10年以上のキャリアをお持ちです。ツマさんの発想はとてもユニークで、日常の何気ないものをおもちゃのデザインにつなげてゆきます。お伺いしたときも、この春の新作のサンプル作りをなさっていたところで、私たちは、一足早く見せていただきました。 間もなくお目見えすると思いますが、楽しみです!!


 小さなパーツをたくさん組み合わせて遊ぶ、和のレゴという感じのおもちゃが倭さんのオリジナルですが、本当にひとつひとつが丁寧に出来上がっているのです。たったお二人でどのようにしてあんなにたくさんの制作をされるのかと思っていました。もちろんNCというようなコンピューター制御の機械を使っているわけではありません。
 
 その秘密は、治具(制作を補助するための道具や型)でした。一箇所をいつでも、何回やっても同じように加工できるように、治具作りをとても丁寧に高い精度をもたせています。何回も少しずつ様子を見ながら微調整して、完成させるそうです。場合によっては、完成まで半年近くかかるものもあるそうです。そのかわり、完成した治具を使えば、同じ形のものが寸分の狂いもなく出来上がるのです。 それぞれの仕事に合わせて、たくさんの治具がありました。まさにこのお二人の血と汗の結晶は、アトリエの宝物ですね。
 
 そして仕上げは、ひたすら丁寧にペーパーがけをします。子供たちの小さな手にそっと包まれても痛くないよう、きれいに仕上がっています。最近は、形の面白さだけを追って、仕上げのいい加減な品物をよく目にすることが多く、嘆いていたのですが、香田夫妻のおもちゃは、本当に美しく仕上がっています。ひとつひとつに心がこもっていて、若いながらも物作りの心を大切になさっている姿勢が表れています。

 
私たちの訪問に素敵なプレゼントをしてくださいました。キューブに障子紙を貼ったものをそれぞれに手渡されました。「?」と思っていたら、「どうぞ指で穴を開けてください」とおっしゃるではありませんか。丁寧に作られているのにいいのかしらと思ったのですが、薦められるままに穴をあけて、穴から中を覗くと、懐かしいどこかで出会ったような風景が見えるではありませんか。これは、「のぞく」をテーマに行われたARTOY展という展覧会に出品したものだそうです。

 これを何十も作って、障子のように積み重ね、来場したお客様に穴をあけて中を覗いて頂いたそうです。子どもの頃、きれいに張られた障子は、穴をあけてみたかったものです。娘もしょっちゅうやっていました…
 この楽しい発想!! 舞台裏では、お二人で障子張りに明け暮れていたそうですが…
 お客様を喜ばす努力には頭が下がります。今年も別のテーマであるそうですが、是非伺いたいと思いました。
 

 色々なお話をしていると、あっという間に時間が過ぎてゆきました。5月に再会を約束して、アトリエを後にしました。
 どちらも30代という2組の若い作り手の工房を訪ね、日本の未来もまんざらではないなと希望を持てた素敵な1日でした。
 ありがとうございました!