岩泉純木家具 工房訪問 2007.06.27

  少しさかのぼりますが、6月9・10日と、秋の展覧会の打ち合わせに岩手県の岩泉純木家具を訪ねました。
昨年で、25周年を迎えた東京・田中八重洲画廊での「木の家具展」。20周年は、お世話になった方々と共にささやかなお祝いの会を開いたのですが、昨年はそれぞれの奥さんも一緒に、内輪で打ち合わせ兼お祝いの親睦旅行をしようということになり、長野県鹿教湯温泉で1泊を過しました。
 これまで、ずっと陰で夫たちを支えてきた健気な(?)妻たちも一緒にということになったのですが、これがとても楽しい思い出となり、今年は岩手県の工藤さんの主催する工房を訪ねがてら、ひと時をということになり、総勢10名が集まりました。昨年同様、充実した楽しいひと時を過すことになり、恒例となりそうです。
 

 祭り
 お昼過ぎに駅に着くと、ちょうど1年に一度の「ちゃぐちゃぐ馬っ子」のお祭りの日で、パレードに出会うことに。
 お祭りの衣装に身を包んだ稚児たちが、馬に乗って市内を行進していました。
 思いがけない、シャッターチャンスです!

 南部鉄器  
 まず、盛岡市内にある南部鉄器の老舗「釜定工房」を訪ね、当主の宮さんに貴重なお話を伺いました。 
 海外にない日本の誇れる技術として、日本刀と、茶釜の2つがあるそうです。茶釜の制作で、他の鋳造と最も異なるのは、鋳型を製作する時に粘土で実際の完成模型を作るのではなく、金属の回転体の断面を制作し、これを回転させて、鋳型を作るということです。つまり、頭の中の形のイメージを元に微妙な厚みの変化などを計算しながら制作するということです。長年の経験と感によるものですが、この技術を習得するには、長い年月がかかるのでしょう。

この鉄器の技術も室町時代に最も栄え、そのあと一旦途切れてしまった空白の時期があり、これを復元するのは、現在では、鉄の質が変化してしまったこともあり、とても難しいことだそうですが、宮さんは仕事の合間に少しずつ、研究を進めているそうです。 鉄器の世界の奥の深さを少し覗かせていただきました。

 早坂高原
それから、岩泉に向いましたが、途中休憩を取った高原では、思いがけずに、翁草、苧環、あずま菊などたくさんの野草に出会うことが出来ました。岩泉までは、盛岡から約2時間かかりますが、新緑の美しい山間の道を通っていきました。

  栃、楡、エンジュの木が多かったのですが、途中、とても大きなシナの木があったのには、驚きました。

 岩泉純木家具工房見学

 翌朝、工藤さんの工房を見学しました。製材の設備、大きなプレス機、NCなど、個人工房ではなかなか見られない機械がたくさん並んでいました。



工房の脇には、川が流れていましたが、秋には、鮭が遡って来るそうです。 川のせせらぎの音と、緑がとても心地よく感じられました。


 それから、工房から少し離れた「広葉樹の森」と名付けられた、製材した木を保管して置く場所を見せていただきましたが、その広さと、材木の量の多さにはびっくりです。
見渡す限り野積みしてある材木があり、天乾の終わった材木を入れる倉庫が十棟以上もあり、人口乾燥庫の中もたくさんの材木が入っていました。
 
 これだけの材木をどうやって管理しているのかと思ったのですが、製材した木には、すべて、整理番号が付けられ、一枚ごとに写真をとって、種類別に整理してしまわれているそうです。 たとえば、はぎ合わせのテーブルを作ろうとする場合、隣あわせで製材した木をあわせることが出来、すべて共木で、ひとつのものを製作することが可能だそうです。端材も大きなものは、一緒に保管されていました。 驚くほど完璧な管理をなさっていらっしゃいました。 工藤さんの仕事への情熱が伝わってきました。


 梅雨入りをして、大雨という天気予報でありながら、全く降られることなく、たくさんの思い出を胸に、岩手富士の見える盛岡をあとにしました。
 それにしても、新幹線を乗り継いでゆくと、盛岡から佐久平までなんと3時間。あっという間に着いてしまいました。