工房訪問 その3 2009.09.04

  2月の工房見学から、早半年が過ぎてしまいました。前回は、金属関係の工房を訪ねましたが、今回は木と竹の素材の仕事をしているお二人の所へ伺いました。7月始め、梅雨でしっとりとした雨が降ったりやんだりしたお天気でした。ご報告も大分おそくなってしまいましたが…

  午前中は、拭き漆の匙を作っていらっしゃる酒井邦芳さんを塩尻に訪ねました。匙の仕上げや漆塗りの作業をしている自宅内の工房にお邪魔しました。

  酒井さんは、以前は蒔絵の仕事をされていましたが、体調を崩されたのを機に木地作りから漆の仕上げまでを一環して行う現在の仕事のスタイルに変えられたのだそうです。
 展覧会やクラフトフェアーで作品を拝見させていただいたことはあるのですが、どのように作られるのでしょうか?
私たちに説明をしながら、実際に作業を見せてくださいました。 

木取りをする前の印付けです。 荒木取りをした匙がたくさん用意されていました。。 手の動きの早いこと…サクッ、サクッと気持ちの良い音を立てて、削られていきます。


見たことのない刃物がたくさんありました。仕事をしながら、いろいろと工夫されたそうです。 荒木取りで穴が開いていただけの木が刃物を変えながら、どんどん形作られていきます。 次第に美しい曲線を見せてゆきます。

 

 どの刃物も、きれいに手入れがされてあり、本当によく切れそう!
 鉋→鑿→ばんがき→スクレーパー→ペーパーヤスリというのが大体の工程です。
 素材は、栗、たも、栃、桜などおなじみのものが使われています。

 お匙の仕上げが一段落したところで、漆の作業場を見せていただきました。ご自分で漆を掻くこともあるそうです。室には、乾燥中の匙や器が入っていました。
  
 ふと、古い箪笥の上に鉋が並べられているのが目に入りました。 整然と美しく飾られています。 アールのある鉋には、きちんと合わせた台が添えられています。手にとって見せてくださいました。
 骨董の鉋たちですが、丁寧に修繕され、なんと、すぐに使えるようにきちんと研いであります! その他にもたくさんの鉋を集めていらっっしゃるそうですが、コレクションされるだけでなく、実際に使えるように仕立てて、その切れ味も楽しまれるそうです。 きちんと手入れをされた道具たちは、なんだかとてもうれしそう…

最後にご自宅から少し離れたもうひとつの工房を案内していただきました。ここでは、木取りや機械加工、轆轤の仕事をされていらっしゃいます。 とても広々としていました。

                           



轆轤加工をする時の固定具です。
刃物は、地域によって、両刃であったり、片刃であったりするそうです。酒井さんは、輪島で片刃の使用を学び、木曽に戻って両刃での仕事もされるようです。

 最後に酒井さんから、漆器についてのアドバイス。
 毎日使うこと!! 仕舞っておくと、乾燥してしまって、漆がはがれやすくなるのだそうです。