工房訪問 その2 2009.03.17

 午後は、同じく上田市の森・角居夫妻の工房を訪ねました。
ご自宅のお庭には、いち早くクロッカスが咲いていました。かわいいうさぎちゃんがいましたが、森さんの作られた陶の遊具が置いてある遊び用のお庭も続いていて、うさぎ小屋どころか、とても広くて幸せな暮らしをしていました。

 お二人は、ある陶芸家の工房でともに仕事をしていて、知り合い、森さんのおじい様たちの住んでおられた上田市に工房を築かれたそうです。

 森章子さんは、埼玉県生まれ。多摩美術大学で陶芸を学ばれました。 栗・林檎・葡萄など、信州でよく採取された植物の灰を使って、器やオブジェを作っていらっしゃいます。お二人のお子さんの子育てを楽しみながら、制作活動をしていらっしゃいます。栗の釉薬の土鍋を使わせて頂いていますが、使いやすく、テーブルにおいてもなんともいい感じで、この冬は我が家では、大活躍してくれました。

 角居康宏さんは、石川県生まれ。金沢美大で金工を学ばれました。大きなアルミのオブジェと錫を使った器を作っていらっしゃいます。オブジェの作品集を見ながら、それぞれにまつわるお話を伺いましたが、色々なストーリーがあってとても面白く、お話がつきませんでした。 酒器を中心とした器たちは、どれも丹精で仕事の確かさが感じられるものばかりでした。 奥様とのコラボの酒器は、素敵です。
 

 
 お話は、いくら伺っていても楽しかったのですが、時折、皆が「??」と思う言葉が出てきましたので、ご自宅の前にある工房で説明をしてくださることになりました。
 まずは、森さんの陶芸工房から。奥に見慣れない道具がありました。けり轆轤だそうです。角居さんが溶接をして森さんのために作られたそうです。どこかで見たことがあるような…? そうです。マンホールの蓋が使われていました。身近にあるものを上手く工夫して作られていました。普通の電動轆轤と使い分けていらっしゃるとのことでした。

 窯には、ちょうど作品がぎっしり。窯炊きの直前でした。 束ねた林檎の枝が置かれてありました。

 
 次は、お隣の角居さんの工房です。昨年森さんの窯のあった場所をご自分でリフォームされたそうで、とても使い勝手のよさそうな、各所に工夫のある工房でした。 私も素材の種類は違いますが、金工の仕事をしていますので、とても興味深かかったです。道具ひとつひとつにも使い手によって、微妙に形が異なり、収納の仕方も色々ですね。参考になることがたくさんありました。


 角居さんは、何でも工夫して道具を作られていました。金床などもl線路のレールなどを利用してとても使い易そうに研磨してありました。 何をどう使うのか、初めて見るスタッフには分かりにくいものもありましたが、皆が角居さんの説明に引き込まれてゆきます。 
 そのうち、実演をしてくださることになりました。 錫の板をを丸めて半田付けをし、円筒形に仕上げるまでを見せて頂きます。半田付けは、以前に大須賀さんご夫妻のステンドグラスで見せて頂きましたが、素材がかわると全く異なりますね。
 半田付けというより、角居さんのおっしゃるには、半田を使った蝋付けです。

1.錫の板を金床を使って曲げます。 2.ロウ付けをします。 3.形を整えます。
4.底をきれいにヤスリます。 5.底板をロウ付けします。 6.底をきさげできれいに整えます。

あっという間に、筒が出来上がってしまいました。錫は、たたいても堅くなることが無く、なまさずに作業を続けられるそうです。鉄や銅合金などは、叩くほどに堅くなりますので、なましの作業が欠かせませんが、錫の作業性は抜群ですね。
 美しく磨かれた道具を見ても分かりましたが、角居さんはヤスリの使い方が抜群に上手いです。お仕事の完成度が高いのが分かります。

 この訪問で、本当にたくさんのことを学ばせて頂きました。 森さん、角居さん、ありがとうございました。
工房では、鉄や錫の金属の仕事にスタッフも興味が出てきて、何か簡単なことからはじめてみたらと考えています。金属を扱えると、道具を自分で作ることが出来ますし、木という素材を扱う上でも役に立ちます。
 
 4月に予定されている、長野市のガレリア表参道での「祈りの箱」展では、ご一緒させて頂きます。
 どうぞ、お楽しみに…