第2回 曲木研究会  2010.07.26


第2回の曲木の研究会が開催されました。今回は広い会場で、50名ほどの人が集まりました。
 午前中は、長野技術研究センターの上田氏による曲木の理論です。どうして、木が曲がるのか、色々な角度から説明して頂きました。すでに多くの方が曲木の仕事をされていて、ご自分の場合はどうしているかというようなとても参考になる意見もたくさん出て、活気のある時間となりました。
 



 午後は、第1回めに続き、浜田氏による曲木の実演です。今回は、「木を蒸して曲げる」がテーマです。
まずは、合板、やかん、カセットコンロ等を使って作った自作の蒸し器と、曲げるための型や道具の説明です。


     

 どこでも簡単に手に入る材料で出来上がっています。日常に使っている大きさのやかんとカセットコンロという組み合わせに驚きました。これで蒸せるのでしょうか? 蒸気の圧力や漏れを考えながら浜田さんがシンプルに制作されたものです。


隣には、なにやら太いチェーンを使用した見たこともない機械?が置かれています。 木を曲げるというのは、材料の在籍が大きくなるほど力が必要です。何人もの力を借りずに一人で簡単に曲げるためない工夫した機械です。見ただけでは、一体どう使うのかはわかりません…
 

 
 一通りの説明があり、いよいよ蒸し始めます。まずは、30mmの角材から。点火してしばらくすると、どんどん温度が上がり、隙間から蒸気がもれ出てきます。冷やされて液化した水を時々抜きながら30分ほどたったでしょうか。蒸気の中から角材がとりだされます。手で、曲げられるほど柔らかく蒸されています。
 




 取り出された角材は鉄の板のついた治具に取り付け、先程の機械にセット。微調整しながらセッティングしてゆきます。





位置が決まったところで角材の両端をチェーンプロックのチェーンで引っ張ります。今回は、見学者が手伝いましたが、微調整しながら一人でも可能だそうです。チェーンを引いていくと、きれいに木が曲がってゆきます。あれよあれよという間に美しい馬蹄形に。 








 ここで、機械から外して固定用の治具にセットします。
後は、乾燥するだけです。
 煮沸したものより水分の入りが少ないので、乾燥が早いそうです。 それにしてもびくともしなかった木があっという間に曲がり、魔法を見ているようでした。

 

次は、椅子の背板などに使えるような板の曲げです。これも同じくらいの時間蒸して、幅の広い金属板のついた治具につけて、チェーンブロックを引いて曲げてゆきます。大きな動力を必要とせずに、曲げることができます。
 

 この曲げる機械も中古のチェーンブロックなどを利用してコストは一万円以下というのですから、驚きです。


 浜田さんのお話を伺っていると、知恵を働かして工夫することで、お金をかけなくても色々なことが可能になるのだと、納得。後は実行のみですね。




それにしても、目の前で木が簡単に曲がってゆくのは、まるで魔法を見ているようでした。たくさんの方からため息が漏れました。


 さっそく、工房でもこの蒸し器の制作をしました。リサイクルショップで、使えそうなものを探したり、ホームセンターにない部品はネットで調べて取り寄せたりして制作開始。作りたいものに合わせて、KUKUなりに工夫をしました。
試運転はドキドキです。 蒸すことはできたのですが、思うように温度が上がらなかったり、時間が想定外にかかったり、試行錯誤の結果、何とか使えるものが出来上がりました。
 .装置はとてもシンプルですが、ほんの少しのことが結構影響するデリケートなものでもありました。


 現在、工房では、曲木のオーバルボックスの制作が始まっています。まだまだ試行錯誤の繰り返しですが、いくつか繰り返しているうちに次第にコツがつかめてきました。製品化には、まだいろいろとクリアしなければならない点がたくさんありますが、これからの展覧会で、皆様にご紹介出来る日も近いと思います。
  →第3回に続く