第3回 曲木研究会  2011.01.12


 しばらく更新が滞っていましたが、研究会のご報告を再開いたします。
  第3回の曲木の研究会が2010年7月10日に開催されました。今回は御代田町でウィンザーチェアーを制作していらっしゃる村上富朗氏の工房で、椅子の背やアームの曲木の実演を見学することになりました。村上氏とは谷が信州で仕事を始めて以来の古い友人でもあり、一緒に展覧会にも参加しています。身体に吸いつく様にフィットして、とても座り心地の良い椅子を作っていらっしゃいます。このページもパソコン作業用に高めに作って頂いた村上さんのウォールナットの椅子に座って書いています。3年になるでしょうか。こんなに楽ならば、もっと早く作ってもらえば良かったと思っています。家具作家たちプロが絶賛する座り心地とデザインの椅子を作っていらっしゃいます。
 

 前の晩から水に漬けておいた楢材をステンレス製の四角い箱で煮ます。今回は、夏の暑いときでそれはそれで結構大変でしたが、冬は熱が逃げて効率が悪いので難しいそうです。常に沸騰しているくらいをキープして、7,8時間煮ます。4時間ほどから曲がり始めるそうですが、村上さんのお仕事では、これくらいの時間が良いそうです。良く煮沸消毒されている状態になるので、型に付けたまま乾かしてもカビることはないそうです。

     

 まず、扇型の型で、曲げてみます。これは、一人でもくさびを打ちながら曲げられるもので、背板などの板状のものを曲げる時に使用します。

     


 次は角材の曲げです。治具として帯鉄を使用したものとベルトを使用したものがあり、曲げに合わせて使い分けるそうです。
 
煮あがった材の両端にワイヤーを取り付け、作業台にセットした型の頂点に合わせます。
ワイヤージャッキを動かしながら、少しずつ引いて、曲げてゆきますが、型に沿ったところで、くさびを入れながら、固定してゆきます。




ワイヤージャッキを操作するのは、いつもお手伝いをしている伊藤さんです。絶妙なタイミングで木を引っ張ってゆきます。


     


 ダボとくさびで型に沿わせて、最後はクランプでしっかり固定して乾燥させます。この時期ですと、乾燥時間は大体1ヶ月ほどだそうです。ジャッキを引く強さや早さは、経験の積み重ねで微妙なころ合いを熟知されているので、村上さんとの息がぴったりと合っていました。曲げ具合は、その時の木に聞きながらだそうです。
 今回は、スタッフの酒井も手伝って3人で行いましたが、回数が進むにつれて、3人の呼吸が合い、次第に早くスムーズに曲げられて行きました。
 

 注意しなければならないことは、ねじれで、柔らかくなっているのでどんどん曲げようとすると、ねじれてしまうそうです。柾目の材は曲がり易いのですが、ねじれ易くもあるようです。
 

 出来上がった曲げ木はしばらくしてから端を紐でとめて、天井にかけて乾かしておくそうです。 今日は、10数本の曲木が出来、夏の終わりには、これを使った椅子が出来上がるのでしょう。

 

 
 一通りの曲木が終わってからは、村上さんの椅子を展示してある部屋で、色々な椅子に座ってみました。どの椅子も座り心地が良く、皆さん大満足。写真を撮ったり、椅子をひっくり返してみたりと、思い思いに過しました。
 写真の右端に写っているウォールナットの椅子が現在私が使っているものと同じものです。ダイニング用ですので、姿勢がすっと伸び、机で使うのにもぴったりです。


     

 →第4回に続く