本を読むこと その2 想像力  2007.02.07

  最近は、テレビやインターネットなどで日常生活を送るうえで必要な情報は入ってきますので、本がなくても日常生活に困るということはありません。それでも、読書には素晴らしい魅力があります。

想像力
 小さい子どもは、本を読んでもらいながら、絵本の中の登場人物を頭の中で動かしてゆき、自分も追体験してゆきます。心に残った絵本の絵は、大人になってもそのまま頭の中で再現することが出来ます。
 そして、文字だけの本になると、登場人物や風景などを自分なりに想像して思い浮かべながら読み進めてゆきます。ただし、形は人それぞれでしょうね。想像する基は、何もないところからは出てきませんから、潜在意識も含め自分がそれまで生きて経験してきたことが基になると思います。様々な経験をもとにイメージをするわけです。年を重ねる方が深く本を読めるというのも、積み重ねた体験がたくさんあるので、広く深くイメージすることが出来るからなのかもしれません。

 本は、頭の中でイメージしながら思索をするという点で、もっとも身近な手段ではないでしょうか。実際には、見えず、聞こえず、触れない、つまり五感で感じられないものを、あたかも見えるように触れるように誰もが頭の中では体験できるわけです。何の道具も使わずに…
 
想像力は、どのように役に立つのでしょうか。
 ・人の気持ちや立場を理解でき、相手の立場に立って物事を考えられる様になります。
 ・イメージトレーニングをすることで、臨機応変に判断したり、テクニックを深めてゆくことが出来ます。
 ・感性も豊かになってゆきます。
 ・人は、一つの人生しか生きることは出来ませんが想像力を使えば、何人分もの人生を楽しめます。
 ・何よりも、生きることが楽しくなります。
本を読むことは人生を豊かにして、自分自身を成長させてくれますので、感受性の豊かな若いうちにたくさんの素敵な本と出会ってほしいと思います。

創造力
 ものを作る仕事には創造力が必要ですが、この創造力も想像力が土台となります。自分の体験や経験をもとに豊かな感性でイメージをして、形を生み出してゆくのがデザインです。
 又、デザインが出来上がって、実際の制作をする段階になったときに、想像力がないと段取りよく、効率的に質の高い仕事をすることが出来ません。完成の形をイメージして、そこへ持ってゆくためにどの様な手順で、何をどう使って作業を行ったらよいかを頭の中でしっかり考えてからでないと、時間とコストを浪費してしまいます。

 建築家の安藤忠雄氏は、若い頃に世界の建築を見るために歩いて回ったそうですが、一つの建築を見ると、その構造や作り方などについて、ひたすら考え続けながら、歩いたそうです。若いときのイメージトレーニングがその後の仕事を作っていったのだと思われます。完成した形を見ながら、どの様に作るのか、シミュレーションをされたのでしょう。すごいですね。

客観的な判断力
  本を読むことのもう一つのメリットは、自分自身と向き合うことが出来るということでしょうか。色々思い悩んでいるとき、ふと出会った一冊の本に救われた経験はあリませんか。本を読むことで、自分が何を考えているのかが整理できて、どうしたいのか分かってきます。本を通して、自分自身を客観視できるからでしょう。物事を判断するときに、客観的に突き放してみるということは、とても大切なことです。感情的になったり、悩みすぎてしまうと、つい自分自身を見失い、一人よがりになってしまいがちですので。
 仕事でも、精一杯やって、「やったー!」という瞬間がありますが、一呼吸置いて出来るだけ客観的にもう一度、見直してみるということはとても大切です。もの作りの仕事をしているとつい思い入れが強すぎて自己満足になってしまうことがありますので、いつも反省がつきません…