針仕事の楽しみ 2010.02.08

 

 4月に「李朝憧憬」というタイトルの展覧会の企画があります。KUKUでは、この企画に向けての作品作りが始まっています。今回は、布・竹・磁器との素敵なコラボを考えておりますので、どうぞ楽しみになさって下さい。

 さて、KUKUでは作品を入れる袋を作りたく、今回この企画展に参加してくださることになった布の作家さんにご相談いたしましたところ、コラボ用の布を分けてくださいました。
 アジアの伝統的な布やご自分で染めた布を使って衣服やインテリアの小物を制作していらっしゃり、私は以前からのファンで、時々展覧会へも伺わせて頂いておりました。どれも貴重な布を使っていらっしゃるので、どんな小さな端切れも大切に保管されていらっしゃり、とても上手くパッチワークやポイントとして大切に作品に生かしていらっしゃるのです。その組み合わせの妙が実に巧みで素晴らしいのです。
 


 このところ毎日、布を広げて眺めてはイメージを膨らませています。
李朝憧憬 … KUKUでは、日常に使いやすいものをコンセプトとしているので、その雰囲気をかもし出しながらも今、素敵に見えるものを作ってみたいな…
                            2年くらい前より、お仕覆のお稽古に通いはじめました。年に数回しか伺えないので、まだまだ初心者ですが、針を手にする楽しみを久しぶりに味わっております。
 物心ついたときから、母の傍らでお人形の服を縫っていたほど、縫い物は大好きです。 素材としても糸や布の感触がたまらず、触れているだけで心が安らぎます。
 針を持って、一心に手を動かしていると色々なことがリセットされて、気持ちがすっきりとします…

  どのようなデザインにしようか、悩みつつ、楽しみつつ、色々な本を手にしていて、ふと銀花を思い出しました。
 「母の手」という特集が10年前と5年前の2度にわたってありました。あらためて眺めてみるとすごい!!です。
ちくちく刺すものにしても、日本の刺し子、こぎん、韓国のポジャギ、ヌビ、インドのカンタ、グドゥリ、…
アジアの女性は、ひと針ひと針に家族の幸せと健康を願ってひたすら針を運んだのですね。無心であるからこその心を打つ美しさがあります。 (こんな素晴らしい特集をした本が現在の号でなくなってしまうのは、本当に寂しいことです…)
 

こぎん刺し 刺し子 カンタ

 
 先日、「東京国際キルトフェスティバル ー布と針と糸 キルトの国際祭典ー」が開かれていました。韓国から無形文化財の金海子(キムヘジャ)さんのヌビの作品も紹介され、トークも行われた様です。ちょうど、銀花で紹介されていたことがあるので、拝見できなかったのがでとても残念でしたが、娘が韓国に旅行し、本を求めて来てくれました。
 ヌビは、とてもとても細かい縫い目で、3〜5mmくらいの間隔に縫い筋を刺してゆきます。中には綿を入れ、寒さの厳しい韓国では、防寒着や布団に作られています。直線をひたすら縫い続けてゆくヌビを、金さんは技術よりも精神性を大切にされて制作されていらっしゃるようです。
 

真綿を入れて細かく刺します。 ヌビで作られたチマ・チョゴリ 自宅で仕事をされる金さん

銀花に、取材をした方の言葉がありました。
 「韓国人の精神の真ん中は誠心。単純に徹するヌビはそれを養うのにとても向いていると、作者。賢いひとは、上達は早いが長続きしない。欲が出ると針目にすぐ表われる。ヌビを心の行(ぎょう)として針を進めるひとの言葉は穏やかだけと、鋭い洞察力を持つ。」と。
 ハングルばかりなのですが、写真も美しく、いつか作り方のページを翻訳してもらおうと思っています。

 お仕覆のお稽古は、冬の間はお休みなので、しばらく、展覧会の作品作りで針と糸を手に、無心になれるときを楽しむつもりです。 つたなくはあっても、ひと針ひと針にたくさんの方への感謝の思いを込めて縫い進めたいと思っています。