こころもよう no.3  2010.04.30


 李朝憧憬 

 

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 4月24日から長野市で「李朝憧憬(憧憬)展」というグループ展に参加しています。工房を主宰する谷は、若い頃から李朝の工芸品に惹かれて複製を作ったり、研究をしたりして、李朝の仕事に大きな影響を受けてきました。私といえば、若い頃は李朝のものには全く関心がなく、どちらかといえば、日本の伝統工芸の仕事に魅力を感じていました。刀の鍔などの意匠として施されている伝統的な彫金の仕事を学んでいましたので、日本の侘び・寂びの美意識に憧れていました。今でもそれは変わりませんが…

 
 現在の暮らしの中では、KUKUの仕事部屋に実家から持ってきた大きなバンダジを置いてあり、収納に使っています。部屋には、資料や物がたくさん置いてあるのですが、そこだけは何となく、ほっとする空間となっています。その昔は、お布団を入れて使っていたのでしょうか?遠い時代に想いを馳せると、なんだかとても心が落ち着きます。

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今回李朝憧憬というタイトルの展覧会に出品するにあたって、家にある作品や資料を見たり、(家には谷が所蔵する李朝に関する本がたくさあります。)民芸館へ行って、所蔵品を眺めたりして、勉強をしました。これまでは、ただ何となく、素朴な美しさのある仕事といった印象が強かったのですが、良く見るほど、技術の素晴らしさや作りの感性などが伝わってきました。ただの鑑賞から、実際に何をどう作るかという視点で見ることによって、それまでは、気づかなかった色々なことが見えてきたからでしょうか。ちょっとした面のとり方、曲線の大きさ、組み手の形など、細かいところにも目を向けると、日本や西洋のものとは異なる李朝ならではの仕事が表現されていました。今でも多くの方が憧れる原点のようなものにほんの少しですが、触れた思いがいたしました。



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李朝当時に必要であったものが作られてきたわけですが、現在の韓国では姿を消してしまっているものも多々あります。これは一体何に使うのだろうというものもたくさんあり、それはそれで興味深く思いました。その様なものを現代の生活に置き換えてみると、ここをこうすると、今はこのように使えるのではというものがたくさんありました。李朝の資料を眺めていると、現代の生活に合わせて、あれもこれも作ってみたいという思いに駆られます。木という素材だけではなく、焼き物や布などの素材の仕事からもたくさんの刺激を受けました。

 今回の展覧会では、ほんの数点の出品ですが、異素材の作家さんのご協力も得て、これまでにない作品が出来あがりました。李朝の香りがしつつも、KUKUらしい作品として、皆様に感じて頂けると嬉しく思います。


※ 写真1は、谷が複製をしたもの。2から5は、家にある李朝家具。6の奥の棚は、KUKUで李朝の四方棚を基にデザインしたミニ棚。