こころもよう no.14  2013.0607

 仕事のパートナーとして  愛用の道具 


暮らしの中で愛着のある品々たち。それらを作るために様々な道具が存在します。
KUKUを立ち上げて11年目にはいりました。木工の企画・デザインの仕事をして来ましたが、もともとは彫金・ジュエリーデザインを仕事として来ました。KUKUの仕事と並行して今でも細々ではありますが、伝統工芸の彫金を学び、最近は木を組み合わせたジュエリーの制作をしています。

 先日、長年欲しいと思っていた10cmの小型のデジタルノギスを購入しました。年に2度ほど訪ねてきてくれる刃物を中心とした行商をしている平出商店さんにお願いしていました。
 彫金を始めて30数年になりますが、これまで使ってきたのはミツトヨというメーカーの15cmタイプのものです。彫金の仕事で必要とするのはほぼ1mm前後の数値の小さなものが多いので、15cmの長さは必要なく、年を重ねて目盛を読み取りにくくなったことと共に、右手で操作するノギスが重く感じられる様になってきました。
 最近では、偶然見つけた中国製のデジタルタイプを使うことが多かったのですが、これも片手で持って測るには重いのです。そこで10cm長さで0.01mmまで計測できるデジタルタイプが欲しいなと思っていました。KUKUのジュエリーの制作をするようになって、ノギスを使うことが頻繁になりました。

 新しく私の元にやってきたのは、マツイというメーカーのものですが、重さはこれまでのタイプの約半分で、手の小さな私でも片手で操作するのが随分と楽になりました。目盛もデジタルですので、一瞬で読み取れます。制作にあたって、多くは地金の厚みを測るのに使います。もう少しすべりがなめらかだといいなとも思うのですが、お値段的にはリーズナブルでしたので、いいとしましょうか。これから愛用の一品として、大いに活躍してくれるでしょう。


 このノギスの購入をきっかけに私の仕事の道具をあらためて見直してみました。一番欠かせないものはなんだろうかと思ったとき、まず浮かんだのは、ルーペです。このルーペは25倍のステンレス製の枠が付いているタイプですが、愛用歴なんと、50年になります。小学校3年生の時に理科の観察用に学校の教材として求めたもので、母が彫ってくれた名前が残っています。一般的なルーペは10倍くらいのものが多いのですが、宝石の鑑定も出来る精度の物を子どもに持たせた教師も今となってみるとすごいなと思います。
 このタイプのルーペは、きちんと目をルーペに近付けて見ないと倍率が異なってきてしまいますが、使う時には自然といつも目をしっかり近付けて観ていたということは、担任の先生が3年生の子どもにきちんと使い方を指導してくれていたということですね。
このルーペに紐を付けて首からぶら下げて野外学習に行ったことを思い出します。理科の観察だけではなく、とげを刺してしまった時にもこのルーペで見ながら抜いていました。

 しばらく机の引き出しの奥にしまわれていましたが、彫金を始める様になってからは出番が多くなりました。作品の傷をチェックしたり、作った道具の角度を確認したり。イヤリングなどの連結用の輪環を閉じる時にもこのルーペで確認します。企業でジュエリーデザインの仕事をしていた時には、宝石の傷を見たりするのにも欠かせませんでした。日常の色々なシーンで活躍してくれています。



 もうひとつ、手放せないのが手持ちの万力(ハンドバイス)です。これは友人から譲り受け、私で2代目になります。いくら探してもこのタイプのものを見たことがありません。アルミ製で軽く、ばねがセットされているので、ネジで固定するまで押さえておくことができ、取り付けや取り外しを頻繁に行う際、とても便利なのです。市販されている鉄製の物も持っていますが、とても重く、ネジを回し終えるまで固定できず、非常に作業性が悪いのです。このアルミの万力には挟む所に木の板を付けて作品に傷がつかないようにして使っています。
X字状の溝を切った板をはめると、棒状のものもしっかり挟むことができ、はさみ込みの強さの調整も簡単です。まさに第三の手です。
 ルーペと共にこの万力は私が彫金の仕事をする際、なくてはならないかけがえのない道具です。
とことん使いこんできた道具ですが、あともう少し私の仕事に付き合って下さいね。