
30年以上になる古い自宅。若い頃には、友人達や家族がよく泊りに来ていたのですが、年を重ね、宿泊の来客も減りました。将来のことを考え、昨年暮れから春にかけて、自宅の一部のリフォームに合わせて、客間を10帖ほどのKUKUの展示室にリフォームしました。ここで日々、仕事をし、在庫を収納し、作品も展示しています。未完成ではありましたが、5月にプレオープンをし、現在はいったんクローズして、仕事をしながら8月中旬のオープンに向けて、準備をしているところです。 これまでお客様が来訪されると、その都度、倉庫やKUKUの仕事をしている母屋から作品を運んで御覧頂いており、気楽に見て頂けるスペースが欲しいとずっと考えていました。

リフォームは、自然素材で家を建てる上田市のアトリエDEFという工務店にお願いいたしました。4ヶ月ほど、厳寒の時期を挟んで、毎日色々な職人さんが通って来ました。現場監督の方がとてもしっかりと仕事をされる方で、細かい点も相談をしながら進めて下さいましたので、かなり満足した出来上がりとなりました。 床は羊毛の断熱材を敷き詰めて、無垢の栗の板を張り、そのほかは杉を使っています。床には蜜蝋ワックスをスタッフ皆で塗りました。天井・壁はモイスという天然の鉱石を使ったボードを張り、珪藻土を塗りました。すべてが呼吸をしているからか、今年の梅雨はいつもの季節よりもさらっとした感じで過ごせた様に思います.。
3畳分残した和室は小上がりにして、壁と天井は、黒谷和紙の作家ハタノワタルさんに和紙での施工をお願いし、京都から1泊2日でいらして頂きました。いつもKUKUの小物の写真撮りにハタノさんの和紙を使っているのですが、光がとてもきれいなのです。 自分で楮も育て、和紙を漉き、施工やデザインの仕事もされているとても意欲的な方です。何種類か持ってきて下さった紙の中から、自然光、照明のもとでの見え方を検討し、グレ ーの色を選びました。紙の下・左が上になる様に順番に日が昇るイメージで貼るそうです。その後、KUKUでは和紙を貼ったコラボの作品作りに繋がっていて、現在も進行中です。
工務店では、合板の仕事はしないので、在庫収納用の作りつけの什器は、工房で制作しました。 和紙を貼って完成させるため、無垢の板ですと、反りが出てしまうのです。カウンターは、柿渋を塗った後に顔料で着色した和紙を貼り、家具用のオイル(オリオ2)を塗りました。オイルを塗ることで、耐水性がつき、水拭きもOKです。本来は、和紙を貼ってから加工をするため、数日かかるとのことでしたので、貼ればよい状態にして持ってきて頂き、什器が完成したところで工房のスタッフが貼りました。
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