はな びと その2   2007.08.20

  
 7月、横浜高島屋での「全国工房クラフト展」に参加しました。 このイベントでは、ひとりの「はなびと」と呼ぶにふさわしいNさんというフラワーアーティストが会場に野の花を生けてくださいました。の参加した展覧会でも、毎年お世話になっていましたので、お花は拝見たことがありましたが、お目にかかるの初めてでした。

手際よく、センスよく
 搬入、飾り付けの当日、参加者の展示が大詰めを迎えた夕方。Nさんは、大きな籠を手に、エプロン姿で会場に現れました。 さっと、会場を見回すと、完成に近づいたコーナーから、お花を生けはじめたようです。 私たちのコーナーの近くで生けている様子が目にはいりました。こちらも忙しく準備にかかっていましたが、ふと目をやると先ほどまで整然と作品がならんでいたコーナーに見事に野の花が生けられていました。

 何気なく、そっと作品を引き立てるように、花が入れられ、そのコーナーが生き生きととしていました。 ほんの一瞬だったように思います。なんという手際のよさ。 決して花が主張しすぎず、控えめに花器を引き立て、コーナー全体を生き生きとした雰囲気にしていました。

丹精した花の数々

 Nさんの持って来られたたくさんの花は、ほとんどが普通の花屋さんでは売っていない野の花でした。
「都会のどこにこんなにたくさん?」と思って伺ってみると、庭の花を切って来られたとのこと。今年の夏は、この展覧会と、8月中旬の展覧会でほぼ庭の花がなくなってしまいそうと、おっしゃっていました。 珍しい花がたくさんあり、丹精された花たちということが分かります。中にはとても珍しい貴重なものもあり、そのようなものは、根がついたままでした。 会期終了後、またそっと土に戻すそうです。

 Nさんの子どもたちのような花たち。 愛情たっぷりの花だからこそ、尚のこと、素敵に生けられるのでしょう。
 
 

花や仕事への想い
 夏のデパートの環境は、花たちにとってはとても過酷です。冷房での乾燥。閉店後、空調を切られた後のサウナのような暑さ。水切りがしっかりしていないと、一晩で花はしんなりしてしまいます。

 翌朝、花たちはどうかなと心配だったのですが、さすがです!どの花もピンと水が上がっていて、昨晩生けた状態を保っていました。ほっと安心していると、開店前の会場にNさんの姿が…
 会場のお花を点検していらっしゃいました。 少しでも元気がなさそうなものや、どうしても取り合わせが納得できなかった花を取り替えたりしていました。 ひとつひとつ、花に話しかけるように…
 
 そしてこの姿は、なんと会期中、ほぼ、毎日続いたのでした。 いつも庭で切って来たばかりの新しい花を手にして…
 Nさんのおかげで、1週間、いつも会場は、生き生きとした花たちに彩られていました。

 会場の雰囲気作り
 Nさんとお花について話をしている中で、このような展覧会の花を生けるときのポイントを教えていただきました。
 
 展覧会初日は、作品もたくさんあり、各コーナー、力作がたくさん並びます。ですから、花を生けるというより、緑を主にして花も色を押さえ、作品を引き立てるとともに、緑でこれから始まるという生き生きした気持ちを表現するそうです。そして、会期後半は、出品者も疲れが出てき始め、主力作品も少なくなってくるので、花を増やし、少し明るめの色を持ってきて、会場を元気な雰囲気にするそうです。 
プロとしてのテクニックですね。 すばらしいアドバイスを頂きました。
 
展覧会は、会期終了が近づいてくると、お花も枯れてゆくので逆にお花が少なくなって、緑ばかりになってしまいがちですが、このアドバイスには、なるほどと思いました。是非、今後の展覧会に生かしてゆきたいと思いました。


そして、最終日
 閉会する少し前になると、Nさんは、各コーナーのお花を片付けに来られました。大きな籠に生けた花を戻し、水もきれいに空け、さっとタオルで拭いておられるのには、びっくり。そこまでしてくださった方は初めてでした。
 普通は、始まる前に生けて、それで終わり。途中で何回も生け変えたり、片付けまではしないことがほとんどです。

 会期を通して、はなびとNさんから花への思いやり、センス、プロの心構え、生き方など本当にたくさんのことを教えられました。 素敵なはなびととの出会いは、たからものです…