本の中の野の花 2007.0206

 梨木香歩さんの「家守綺譚」という本は、都わすれ、むくげ、貝母、南天など、庭にもあり、私の好きな植物たちが小さなタイトルになっています。時代背景は、どうやら百年ほど前のようで、今よりもずっとゆったりとした時間の流れの中で、主人公が体験する日常のちょっと不思議な物語が展開してゆきます。
 梨木さんの小説は、娘と一緒に読んだ「裏庭」が最初でしたが、「からくりからくさ」、「りかさん」など、どの作品も独特の文体で、不思議な雰囲気の世界が広がっています。言葉のひとつひとつがとても丁寧に表現されていて、イメージがどんどん膨らんでゆきます。
 厳しい冬の季節にそれぞれの花をイメージしながら、春の訪れを心待ちにしています。